離婚は言った方が負け?言い出した方が不利で後悔する?

離婚は言った方が負け?言い出した方が不利で後悔する?

※この記事は弁護士が執筆しています。

離婚話を切り出すことは離婚において不利になってしまうのではないか。そんなふうに考えて離婚を切り出せない方もいるかもしれません。

今回は離婚話を先に切り出すと本当に不利なのか、について解説します。

目次

離婚は言った方が負けで不利?後悔?

結論を先に述べてしまえば、法律的に離婚話を先に切り出した方が負けで不利になるということはありません

離婚話を先に切り出したから離婚慰謝料を払わなければいけないとか、親権者にはなれないとか、養育費をもらえないとか、そのようなペナルティは全くありません。安心してください。

切り出した側が不利と言われる理由


法律的には離婚話を切り出すことは不利に扱われることはありませんが、事実上、そのことが離婚の話し合いにおいてマイナスに働くこともあります。

それは相手が離婚に応じてくれず、しかも法律上の離婚事由がないようなケースです。

法律上の離婚事由のない場合には、相手が離婚に応じてくれない限り離婚することはできません。

そのため、それを逆手にとって、相手が本心としては離婚に応じていいと思っていても、離婚条件において譲歩を迫るために離婚に応じない態度に出ることがあります。しかも、一度自分から離婚したいと切り出している以上、後に引けなくなりがちです。

そのため、離婚の話し合いは相手のペースで進むことになり、離婚話を切り出した方が離婚条件の面で折れることになりがちです。

このように法律上の離婚事由のない場合には事実上離婚話を切り出した方が不利になることがあるのです。

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相手が離婚に合意した場合の流れ


離婚話を切り出し、相手が離婚すること、こちらの希望する離婚条件に応じる場合には離婚届を作成して提出すれば離婚成立です。

他方、離婚には応じるが離婚条件については応じないような場合もあります。この場合には離婚条件について譲歩して相手に応じてもらうための話し合いになるでしょう。

ここで気をつけたいのは離婚条件について話し合うとき、あらかじめどこまでは譲り、どこからは譲れないのか決めておくことです。

そして、その線引きに悩むときには、話し合いでは解決せず裁判の手続により解決することになったときの見込みを知ることが大切です。

何でもかんでも相手の要求に応じる必要はありません。裁判の手続による解決の見込みについて知るために弁護士に相談することも必要でしょう。

相手が離婚に合意しない場合の流れ


相手が離婚することに応じてくれない場合には、離婚届を作成できないので協議離婚はできません。

その場合には、まずは相手が離婚に応じてくれるよう説得することになりますが、それもうまくいかないときは離婚調停を申し立てることになります。

離婚調停では通常男女各1名ずつの調停員を交えて裁判所において離婚話の続きをすることになります。

それでも相手が離婚に応じてくれないときには調停は不成立となり終了となり、残された離婚するための手段は裁判離婚だけです。

ところが、裁判離婚するには、法律の定める離婚事由がなければなりません(厳密にいえば、離婚事由に当たる事実を証明しなければなりません。)。そのため、もし離婚事由のない場合には、すぐに離婚することはできないことになります。

この場合でも、長期間別居することにより、その事実が離婚事由となり裁判離婚することができるようになります。このときの目安になる別居期間は3年程度と言われています。

離婚のときに不利になる言動

離婚の話し合いにおける感情的な言動のすべてが離婚において不利になるものではありませんが、以下のような言動は離婚問題において不利に働く可能性があるので注意しましょう。

まず、夫婦関係を修復するつもりのないことを明確に伝えたいがあまりに、既に新しい恋人がいることなどを言うのは後に不利になるでしょう。

なぜなら、それは不貞という離婚事由なので、離婚原因を作った責任のある者(有責配偶者)として、裁判離婚を認めてもらえなかったり、離婚することができるとしても離婚慰謝料を払わなければいけなくなるからです。

次に、早く離婚したいのに相手が応じてくれないあまりに、何も求めないからとにかく離婚してほしいなどの発言をするのもあまりよくありません。

なぜなら、その発言を理由に相手が養育費や財産分与などに全く応じてくれず、泣く泣くただ離婚だけして、何も残らないような結果になってしまうことがあるからです。

離婚を有利に進める方法4個

1. まずは情報収集をしっかりする

離婚を有利に進めるための第一のポイントは事前にしっかりと情報収集することです。

離婚に関する情報といっても多種多様ですが、離婚するにはどんな方法があるのか、離婚に伴い決めなければいけないことには何があるのか、それが話し合いで決まらないときにはどうすればよいのか、証拠になるのはどんなものか、などの情報については事前に知っておくべきです。

2. 困ったら弁護士に相談する

離婚に関する情報収集をしっかりするといってもすべて自分自身で行うのは大変かもしれません。特に法律に関する情報は専門的であり簡単に理解できないこともあるでしょう。

それらを理解できないまま離婚の話し合いをすると結果的に損をしてしまうリスクもあります。

そこで、離婚話を進めるにあたり、弁護士に相談してみることをおすすめします。そこで弁護士から見通しを聞けば、その後の離婚を有利に進めることができるでしょう。

3. 話し合いの方法を工夫する

次に離婚の話し合いを有利に進めるポイントとして、話し合いの方法を工夫すべきという点が挙げられます。

たとえば、夫婦だけでの話し合いでは感情論に終始してしまうようなときでも、間に親族を入れるなどすれば冷静に話し合いができ、ことがスムーズに運ぶこともあるでしょう。

また、夫婦間だけの話し合いになると、後々、あれは本心ではなかったなどと言われる可能性もあるので、それを避ける意味でも第三者を立会人として離婚の話し合いを進めることは大切です。親族にそのような人がいないときには、弁護士に交渉から依頼してしまうのも1つの方法です。

4. 話し合いの結果を記録する

最後に離婚の話し合いを有利に進めるポイントとして話し合いの結果を記録することが挙げられます。記録するといっても特段難しいことではなく、相手とのやりとりをメールとして残したり、夫婦の会話を録音したりする方法です。

また、離婚の条件について合意できたのであれば、それを書面にしたり、公正証書として残しておくことも大切です。このような記録があれば後に相手が安易に約束したことを覆すようなことができなくなるからです。

まとめ

離婚話を切り出すことが離婚において不利になるというのは誤解です。ただし、離婚事由がなく、相手の合意がなければ離婚できないときには離婚話を切り出したことにより離婚条件で譲歩せざるを得ないこともあります。

離婚の話し合いにおいては、事前にどのように話し合いを進めるのがいいか考え、できれば一度弁護士に相談してアドバイスをもらうのがよいでしょう。

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