貞操義務とは?条文は?貞操義務違反と慰謝料

貞操義務とは?条文は?貞操義務違反と慰謝料

貞操義務とは?民法で関連する条文は?貞操義務違反をしたときと慰謝料の金額・請求方法などについても解説します。

目次

貞操義務とは?読み方は?

夫婦や恋人達が第三者とは性的関係を持たず、純潔を守ることを「貞操」といいます。そのため、貞操義務(読み方:ていそうぎむ)」とは、第三者とは性的関係を持たず、純潔を守らなければならないという義務です。

この義務に違反することを不貞(ふてい)といいますが、不貞は浮気や不倫と言い換えることができます。

貞操義務の民法条文


貞操義務、つまり、第三者とは性的関係を持たず、純潔を守ることを義務づける規定は民法の条文にはありません。

しかし、民法は、夫婦の一方が浮気したとき、他方は離婚を求めることができるとしています(第770条第1項第2号)。

そのため、民法は夫婦に貞操義務を課していると解釈されています。つまり、浮気をした配偶者に離婚を請求できるのは、夫婦は貞操義務を負っていて、これに違反したためと考えられています。

貞操義務はなぜ存在する?

最高裁判所も貞操義務について明確に定める法律はないと捉えていますが、婚姻の本質に照らすと、夫婦には貞操義務が課されていると判断しています(最高裁昭和54年3月30日判決)。

それでは婚姻の本質とは何でしょうか。これは哲学上の問題です。また、夫婦関係はどうあるべきかは道徳や倫理に関わる問題ですが、性の乱れは道徳や倫理に反します。

また、夫婦は愛を誓い、助け合いながら生活するものとされていますが、一方が浮気をすると、信頼関係は損なわれ、共同生活はできなくなるでしょう。

つまり、不倫は婚姻関係を破綻させますが、そのようなことが起きないようにするため、夫婦には貞操義務が課されています。夫婦の一方は他方に精神的苦痛を与えたり、婚姻関係を破綻させてはならないため、この義務が課されていると捉えてもよいでしょう。

貞操義務違反とは?

すでに説明したように、貞操義務とは第三者と性的関係を持たず、純潔を守る義務です。そのため、他人と性的関係を持つと、この義務に違反します。

なお、性的行為の捉え方や、どのような行為を貞操義務に違反する性的行為と捉えるかは人によって異なることがあるでしょう。例えば、性風俗サービスの捉え方には個人差が存在します。

事実婚でも貞操義務はある?

ところで、婚姻は結婚する意思を持ち、同居するだけでは成立せず、役所・役場に婚姻届けを提出しないと成立しません(第379条第1項)。

しかし、結婚する意思を持ち、同居するものの、婚姻届けは提出しない男女もいます。このような関係を「事実婚」といい、法律上、有効に成立している「法律婚」と区別します。なお、「事実婚」は「内縁」とも呼ばれます。

貞操義務は夫婦、つまり「法律婚」をしている男女に課される義務ですが、「事実婚」をしている男女は婚姻届けを提出していないだけで、その実態は夫婦と異なりません。そのため、貞操義務は「事実婚」をしている男女にも課されます。

不倫相手に対する慰謝料請求と慰謝料の相場


配偶者の不倫が原因で婚姻関係が破綻し、精神的苦痛を負ったときは、不倫相手に慰謝料を請求することができます。

慰謝料とは精神的苦痛に対する賠償金ですが、その額は、不倫の実態や程度、また、不倫相手の資力など、様々な要素に左右されます。

また、精神的苦痛を負った人の心情を考慮すると、「相場」という表現は適切ではありませんが、50~300万円と考えることができるでしょう。ただし、不倫相手に経済力がなければ、1円も取得できません。

なお、配偶者が不倫をする時点で婚姻関係はすでに破綻していたときは、不倫相手に慰謝料を請求することはできません。なぜなら、このような場合には、不倫が原因で婚姻関係が破綻し、精神的苦痛を負うことにはならないためです(最高裁平成8年6月26日判決)。

また、配偶者の不倫や不倫相手が誰か知った時から3年が経過したときは、慰謝料を請求する権利は時効によって消滅します(民法第724条)。

不倫相手に慰謝料を請求する手順


AはBと結婚していますが、Cと浮気(不倫)をしたとしましょう。Bは慰謝料の額を自分で決め、その支払いをCに請求することができます。そのために弁護士をつける必要はありませんが、法律に詳しくない人は、弁護士に相談したり、市役所やその他の組織が行っている法律相談を利用するとよいでしょう。

Cが支払いに応じないとき、Bは裁判所に訴えを提起することができますが、その手順は以下の通りです。

(1)弁護士への依頼

裁判所に提訴するために弁護士をつける必要はありません。しかし、裁判には法律上の専門知識が必要になるため、それに詳しくない人は弁護士に依頼しなければなりません。なお、弁護士に払う費用は、裁判に勝つか負けるかにかかわらず、依頼した人が負担します。

(2)訴えの提起

慰謝料の額が100万円である場合、Bは、自分が住んでいる地域の簡易裁判所、Cが住んでいる地域の簡易裁判所、またはAとCが性的関係を持った地域の簡易裁判所の中から一つ選び、訴えを提起することができます。なお、複数の裁判所に同時に訴えることは認められていません。

(3)Bが主張・証明すること

慰謝料請求が認められるためには、Bは、①AがCと性的関係を持ったこと、②CはAが結婚していることを知りながら、または不注意により知らずにAと性的関係を持ったこと、また、③BはAC間の性的関係が原因で精神的苦痛を受けたことを主張しなければなりません。

また、Cがこれらの事実を争うとき、Bは証明しなければなりません。例えば、AとCが性的関係を持ったことを証明するには、その状況をとらえた写真や映像を裁判所に提出したり、第三者に証言してもらう必要があります。

それができないとき、Bは慰謝料の請求が認められず、敗訴します。そのため、訴えを提起するときは、証拠を十分に収集しておかなければなりません。

まとめ

我が国の法律は貞操義務について定めていませんが、民法は配偶者の不貞行為を理由とする離婚を認めています。そのため、夫婦には貞操義務が課されていると解釈されています。なお、この義務の捉え方には個人差があるでしょう。

また、この義務は道徳・倫理に基づいているため、それが変われば、この義務の内容も変わります。

配偶者がこの義務に違反し、第三者と性的関係を持ったため、精神的苦痛を受けたときは、その第三者に慰謝料を請求することできます。なお、精神的苦痛の大きさは金銭で測れるかといった問題があります。また、そこでは請求する側の道徳・倫理観も問われます。

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