離婚しようとしても、相手が同意せずに、離婚届を出せず、話がいつまでも進まない場合があるかと思います。離婚の手続きがうまく進まないと心理的な負担が増え、ストレスが溜まってしまいます。
今回は、離婚に相手が応じない時の対処法と離婚してくれない相手へのNG行動を紹介いたします。
離婚に相手が応じない時の対処法6個
1. 別居する
夫婦間には民法で「夫婦は同居し、お互いに協力し扶助しなければならない」と規定されています。そのため、同居を解消し、別居することで、法律上の離婚原因と認められることがあります。
ただ、別居するための理由を持っておいた方がいいでしょう。また、別居することで相手に対して、生活費(婚姻費用)を要求することが可能です。婚姻費用は法的に支払い義務があるので、相手に負担を負わせることができます。
2. 内容証明通知を送る
内容証明郵便とは「誰が誰にどんな内容の文章を送ったか」を郵便局が証明してくれる制度です。
法的な拘束力はありませんが、相手に対して自らの意思表示を示したとして、裁判などで証拠として利用することができるだけでなく、通常の発送方法と異なるので、相手に心理的なプレッシャーを与えることができます。
離婚したい意思表示を正式な方式で相手に伝えることで、別居に応じる可能性も上がりますので、有効的な方法です。
3. 双方の親に相談する
双方の親族に離婚したい旨を伝えて、少しずつ外堀を埋めていくのも手段の一つです。
特に相手方が不倫していたり、DVしていたり、過度な浪費癖があったりなど、婚姻生活に著しい支障が生じており、かつ、相手側に非があるなら、相手方の親族も離婚の意思を受け止めてくれます。
自分だけでは離婚に進むことが難しい状況なら第三者の力を借りるのは現状を打破するために必要です。
4. 弁護士に代理交渉をお願いする
第三者の力を借りる際に、弁護士に依頼するのも有効です。弁護士に離婚の意思表示を代わりにしてもらうことで、相手方にこちらの本気度を示すことができます。
また、弁護士は法律の専門家であるので、法律知識を活用して離婚の手続きを進めることができます。
さらに、相手方からの連絡を全て受けてくれるだけでなく、離婚事件を何度も経験しているので、心理的な負担になりがちな離婚の手続きを冷静に進めてくれます。
5. 離婚調停を申し立てる
相手方が上記の方法で応じてくれない時は、近隣の家庭裁判所に離婚調停を申し立てましょう。
この手続きでは第三者である調停委員が話し合いに入ってくれるので、相手方と基本的に顔を合わせることなく進めることができるので、心理的負担なく、手続きできます。
ただ、相手が調停に出席しないなどうまく進まない場合もあるので注意が必要です。
6. 離婚訴訟を申し立てる
最終手段として、相手方に離婚訴訟を提起することになります。離婚訴訟は、離婚問題の家事事件が調停前置主義を採っているため離婚調停の後に行うことになります。
離婚訴訟では、民法770条にある法定離婚事由に当てはまるか否かを検討していきます。訴訟の一番大きなメリットは相手側が出席していなくとも、判決をもらうことができる点です。
相手は離婚する意思表示に対する反応をしなければならないので、強制的に何らかの返事を促すことできます。
離婚してくれない相手へのNG行動5個
1. 不貞行為をする
不貞行為をしてしまうと、自ら法定離婚事由を生じさせたとして、相手方は優位になってしまいます。
また、養育費用が確保できなかったり、調停や訴訟で心証が悪くなったりと、経済的な面でも、法律的な面でも不利益な状況に陥ってしまいます。離婚してくれない場合でも不貞行為をするのはやめましょう。
2. 相手を誹謗中傷する
相手が離婚に応じてくれないことを理由に、相手の名前をSNSなどに晒して誹謗中傷することはやめましょう。
誹謗中傷行為は民法上の不法行為に当たる可能性もあり、相手側から損害賠償請求などされるリスクもあります。
そうすると、こちらが離婚上の慰謝料を請求しても相手側から金銭が一切もらえない場合も考えられます。どんなに相手に非があっても、誹謗中傷することはやめましょう。
3. 相手の会社や友人に離婚してくれないことを伝える
当事者同士で離婚の話がうまく進んでいないと、お互いの友人や親族などを味方につけて話し合いに参加させようとします。
しかし、友人や親族は色んな想いがあることから、どちらかの視点にしか立てないので、冷静な判断ができないために話がうまく進まず、泥沼化してしまうことも少なくありません。もし、第三者を入れたい場合には弁護士などの専門家を参加させた方がいいでしょう。
4. 勝手に離婚届を出す
相手が離婚に応じてくれないために、勝手に相手方の印鑑を使用し、離婚届を提出することは絶対にやめましょう。相手方になりすまして文章を作成することは、私文書偽造罪及び行使罪に当たる可能性があります(刑法159条及び同法161条)。
これらの罪は刑法上の犯罪に当たるので懲役刑になる場合もあります。また、訴訟も複雑化していくので、離婚するのに数年単位で時間がかかってしまいます。離婚届の偽造は絶対にやめましょう。
5. 子供を勝手に連れて出ていく
子供がいる場合に、子供を勝手に家から連れ出すことは控えましょう。
DVや虐待など正当な理由がある場合には問題になりませんが、子供が家を離れたくないと言っているのに、無理やり連れ出すことは、子供の意思に反した行為であると言えるので、調停や訴訟などの際に心証が悪くなります。
子供の安全を守りたい気持ちは大事ですが、子供の気持ちも汲み取ることを忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は、離婚に相手が応じない時の対処法と離婚してくれない相手へのNG行動を紹介しました。離婚に相手が応じてくれないと心理的負担が増え、焦ってしまうかと思います。
ただ、何も考えずに行動に移してしまうと、後々、自分が不利になってしまいます。上記で紹介した対処法とNG行為を理解し、離婚の手続きを円滑に進められるように活用してください。
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