離婚で悩む方は年を追うごとに増加しています。日本の離婚件数は2020年度の厚生労働省の調査では約19万3千件となっています。
今回は離婚する前にやってはいけないこと、離婚前にすべきことを紹介します。
離婚前にやってはいけないこと11個
1. すぐに離婚を切り出す
離婚したいと悩んでいてもすぐに離婚したいと伝えるのは控えましょう。すぐに離婚したいと言ってしまうと、相手は離婚するために様々な準備し始めます。
財産を隠したり、子供を連れ去ったり、不貞の証拠を消したりと離婚する際に必要となる証拠や情報がなくなってしまう可能性が高くなります。
そのため、離婚したいと思っても、すぐに伝えず、ある程度、証拠を揃えてから伝えるようにしましょう。
2. 親に相談する
これは上記の理由にも似ていますが、親に相談することで、相手側の親に「離婚したい」という情報が伝わり、意図せず配偶者本人に情報が漏れてしまうことがあります。
外堀を埋めていく方法が大事ですが、裁判で有効的な証拠が消えてしまうと、裁判を優位に進めることができません。親に相談する場合は、証拠が一定程度揃ってからにしましょう。
3. 正当な理由なく別居する
民法752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と規定されています。そのため、正当な理由なく、同居義務を解消してしまうと、この規定に反する行為をしたとして、離婚する際に不利になってしまいます。
もし、別居を検討する際には、正当な理由があるか確認しましょう。例えば、配偶者からDVを受けていて病院や公的機関に通っていること、配偶者から同居を解消したいとの旨があったことや不当に財産を利用されるなどの理由があれば、正当な理由があると言えます。
4. 不倫をしてしまう
民法770条1項では「夫婦の一方は、次に掲げる行為に限り、離婚の訴えを提起できる」と規定し、同項1号で「配偶者に不貞な行為があったとき」と明記されています。
不倫はこの条文の不貞行為にあたり、これにあたる行為をしてしまうと離婚する際に不利な状況に陥ります。
また、不貞行為をすると、不法行為(709条)にあたり、損害賠償責任として慰謝料を請求されますので、絶対にしないようにしてください。
5. 婚活やマッチングアプリで再婚相手を探す
離婚する予定だからといって次の新しい相手を見つけるために、婚活やマッチングアプリを利用することは、配偶者から不貞行為であると見なされ、トラブルに発展する可能性がありますので注意してください。
何となく使っていただだけでも、利用していれば好きな人ができて付き合うようになり、不貞行為に至るおそれがあります。
仮に不貞行為に至らなくても、離婚の交渉が難航するおそれもあります。そのため、離婚が成立するまでは、婚活やマッチングアプリの利用は控えたほうがいいでしょう。
6. 夫婦財産を隠したり不当に使用したりする
民法768条1項では「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と規定されています。
そのため、別居前に勝手に財産を隠したり、不当に利用すると、財産分与の際にトラブルが発生する可能性が高くなります。
また、上記のような行為をすると、心証が非常に悪くなるので、離婚の訴えの時に不利になる可能性もあります。正当な理由なく、夫婦財産を使うのは控えたほうがいいでしょう。
7. 自分の財産を配偶者に見せてしまう
民法762条2項において「夫婦のいずれにも属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定される」と規定されています。
「推定される」と文言がある以上、明らかに自分の財産であることを証明しないと夫婦財産になってしまいます。
安易に相手方に自分の財産を見せてしまうと、「夫婦財産であるから財産分与しろ」と主張される恐れがあります。そのため、自分が婚姻前から管理している財産に関しては安易に見せることは控えましょう。
8. 相手に攻撃的な発言をする
相手に攻撃的な発言を何度もしてしまうと、不法行為とみなされ、精神的な苦痛を受けたとして慰謝料を要求される可能性があります(民法709条や710条)。
また、離婚の訴えや調停の際に、相手に攻撃発言を繰り返し、精神的な疾患を生じさせたなどが認められると、不利な判決や審判が行われます。
相手の言動に嫌気が差し、攻撃的な発言をしてしまう気持ちは分かりますが、離婚を円滑に進めることが難しくなるので、やめた方がいいでしょう。
9. 子供を残して家出する
民法820条において「親権者は子供を監護する義務がある」とされています。婚姻時の親権者は夫婦になるので、子供を放置して、実家に自分だけ帰ってしまうと、この条文に反することになりますので、離婚の訴えなどで不利になってしまいます。
もし、DVなど正当な理由で逃げないといけない場合には、保健所や児童相談所に相談しましょう。
夫婦と子供が同時に逃げられるような環境を作ってくれるだけでなく、公的機関が証拠として現状を記録してくれるので、裁判で有利になる可能性があります。
10. 自分だけで離婚の手続きをする
自分だけで離婚の調停や裁判をしてしまうと、知らないうちに不利な状況に陥ってしまうことがあります。
もし、離婚の調停や裁判を考えている場合には、離婚問題に強い法律の専門家にご相談しましょう。
離婚の手続きは非常に心理的負担が大きく、冷静な判断ができない頻度が多くなります。誰かに話を聞いてもらったり、アドバイスをもらうことで、客観的な判断をできるようにしましょう。
11. 夫婦間で喧嘩などして警察や児童相談所に通報される
夫婦間の仲が悪くなると、喧嘩が多くなります。近隣に迷惑のかかるような大きな喧嘩に発展してしまい、通報されると、警察や児童相談所がやってきます。
特にお子様がいる場合、夫婦喧嘩は心理的虐待にあたるので、離婚の裁判などで不利な要素が増えてしまいます。
そのため、離婚を検討している際には、近隣の住人に通報されないように、喧嘩することは控えた方がいいです。
離婚する前にやるべきこと5個
1. DVや不貞を証明する資料を集める
離婚の調停や裁判を優位に進めるためには、離婚するための理由作りが非常に大切です。特にDVや不貞は離婚するために必要な相当な理由になります。
そのため、DVや不貞に関係する証拠は離婚する前に集めておきましょう。DVによるアザの写真を撮ったり、通院歴を残したり、警察に相談した日にちを記録したり、不貞相手との通信・通話履歴や写真を保全して、裁判所に提出できるように準備しておきましょう。
2. 財産分与で自分が取得する財産を計算する
離婚の際には夫婦の共有財産を互いに分割することになります(民法768条)。
経済力や貯金額が配偶者よりも乏しい場合には、相手方に一定の遺産を要求できますが、自分の方が経済力がある場合には、自分が相手側に金銭を支払う可能性が出てきます。
どちらにしても、どのくらい相手が財産を有しているのか離婚する前に確認した方がいいでしょう。
3. 養育費用の相場を確認する
養育費用は、民法766条や877条から要求できます。養育費用は子供を教育したり、生活を維持させたりする上で必要不可欠です。
養育費用の具体的な価格は自分の年収と相手の年収、子供の人数によって変動します。この価格は裁判所のホームページに記載してありますので、これを根拠に相手方からもらえる養育費用を離婚する前に確認して、どの程度請求するか検討をつけておきましょう。
4. 収入を確保する
離婚すると世帯年収は確実に下がります。そのため、収入を維持させる手段を色々検討しておく必要があるでしょう。
例えば、養育費用でいくら補充できるか、市町村の制度で助成金が出ないか、親戚などの協力者がいるか、新しい職場を検討するべきかなど、収入を維持できる手段を事前に検討しておくべきでしょう。
いきなり離婚してしまい、収入問題に悩まされ、心身を疲弊してしまう方は多くいます。なるべく心理的負担を少なくするために多くの手段を検討しておきましょう。
あらゆる選択肢を考慮したい人は、プロに相談できるキャリアコーチングもおすすめです。
参考:【働く20代女性へ】キャリアコーチングのオススメ7選!結婚/ 出産/ 育児の悩みを解決!
5. 離婚協議書を作成する
離婚する際には、今後の養育費、親権や面会交流頻度を確定するために離婚協議書を作成することがほとんどです。
離婚する前には事前にどのような内容を策定するか決めておくとスムーズに手続きを進めることができます。
協議書の内容は意外とお互いに揉める部分が多く、合意に至るまでに時間がかかります。自分の落とし所を決めておくことは非常に重要です。
まとめ
今回は、離婚する前にやってはいけないこと、離婚前にすべきことを紹介しました。離婚に際しては、法律的な問題だけでなく、経済的な問題、子供の問題、証拠を集める問題など悩んでしまうポイントが多いです。
離婚する前に、何が自分の悩みどころになるのか検討した上で、離婚の手続きに臨むと、幾分か気が楽になります。トラブル回避のために当記事を参考にしてください。
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