別居中に生活費をくれない場合の対処法4個!請求できない?

別居中に生活費をくれない場合の対処法4個

配偶者と別居している場合、生活費用をもらえることができるのか気になるかと思います。生活費用が確保できないと、日々の生活が不安になり、金銭的な負担だけでなく、心理的な負担も増えてしまいます。

今回は別居中でも生活費用はもらえるのか、また、生活費用をもらえない場合の対処法を説明いたします。

目次

別居中の生活費はもらえる?

夫婦といえども、お互いが独立して生活している場合には、生活費用も個人で賄うべきなのではと考えてしまうと思います。

しかし、実際は異なります。民法760条には婚姻費用の分担を規定しております。内容としては「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と記載されています。

簡単に言うと、どちらかが生活費用に困っている場合には、収入と資産を踏まえて、その負担を負わなければならないという条文です。

つまり、夫婦は別居中であっても、お互いの生活を助け合わなければならないので、一方が生活に困っていたら、経済的な支援をしなければなりません。よって、別居中でも生活費をもらうことができます。

婚姻費用とは?

裁判所は婚姻費用を「別居中の夫婦間で、夫婦や未成熟子の生活費などの結婚生活を維持するために必要な一切の費用」と定義しています。

気をつけてほしいのが離婚後に生じる養育費とは異なり、婚姻費用は婚姻以降の費用を含んでいることです。

そのため、別居中なら、養育費用は請求できませんが、婚姻費用は請求できます。では、婚姻費用には何が含まれるのでしょうか。

生活費の範囲

婚姻費用には夫婦や子供の生活費に関わる費用が含まれます。

例えば、家族全員の食費、光熱費、通信費、美容費(服など含む)がこれにあたります。食費や光熱費は生活必需品であり、これがなければ生活することはできません。

また、賃貸料金や住宅ローン及び固定資産費用も同様に生活に関わる費用と言えます。さらに、お子様がいれば、保育園代・学費・教育費用(学校や塾)なども子供の生活には必要不可欠なので対象になります。

その他にも、病院費用、交際費用や交通費も状況によっては生活に必要な費用と言えます。

生活費の金額相場


生活費用の金額相場を知りたい場合には、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」を確認してみましょう。

例えば、3人世帯(夫婦+子供)で会社に勤めている夫の年収が400万円と仮定すると、妻が仕事を何もしていない場合には月々最低でも4〜6万円ほど生活費用をもらうことができます。

夫の年収が600万円であれば6〜8万円、1000万円あれば8〜10万円の生活費がもらえます。仮に妻が扶養の範囲内でアルバイトをしていても上記と同じ値段はもらえます。

ただ、妻がフルタイムで働いている場合には異なる場合があるので注意しましょう。

具体的には夫が年収400万円、妻が年収300万円ほどある3人世帯の場合、婚姻費用は月額2〜4万円ほどに下がります。ただ、司法統計によると、婚姻費用の平均月額は15万円以下となっているので、上記の値よりも多く支払いを受けられる可能性もあります。

別居中に生活費を請求できない場合は?

生活費を請求できるのが原則ですが、請求できない場合があります。

それは、請求する側の配偶者が、不貞行為を行い、自ら家を出て別居した場合です。

このような場合、婚姻関係を破綻させた原因は不貞行為を行った側にあると判断され、請求することができません。

別居中に生活費を払ってくれない場合の対処法4個


では、実際に生活費用を請求しても払ってくれなかった場合にはどのように対処したらいいのでしょうか。

1. 内容証明郵便

比較的簡易的な方法としては内容証明郵便を送る方法があります。内容としては「このくらいの費用がかかったから生活費用を下さい」という旨で作成し、費用表や領収書の写しなどを添付して、郵便局の窓口で発送します。

普通郵便と異なるので、相手にある程度のプレッシャーを与えることができること、郵便局が郵便物を相手方に送っていることを証明できるので、もし家庭裁判所に申立した際に証拠として使用することもできます。

2. 調停・審判・強制執行

上記の方法が難しい場合には、近くの家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てましょう。調停とは第三者がいる状態でお互いに話し合いをする手続きのことです。

ただ、この手続きはあくまでも合意の上で内容を確定するので、相手方が支払いを拒否したり、そもそも調停の場に出席しない場合があります。

お互いに内容を合意すれば調停調書を作成できますが、お互いに内容を合意できなければ、調停不成立となり「審判」に移ります。

審判は裁判所が内容を決めてくれる手続きです。裁判所が内容を確定してくれますが、自分の要望通りの内容が実現するとは限りません。そのため、なるべく調停手続きの中で要望する婚姻費用を決める必要があります。

なお、貯蓄が皆無だったり、頼れる身寄りがなく、早急に婚姻費用が必要な場合には「調停前の仮処分」や「審判前の保全処分」の申立をしましょう。調停中でも婚姻費用を支払ってもらうことができます。

3. 強制執行

審判で内容が確定しても、相手方が費用を払わない場合があります。その場合には近くの地方裁判所に強制執行の申立を行います。

この手続きをすると、相手の債権(給与や預貯金)、不動産屋や高価な時計や車などを差し押さえることができ、婚姻費用の回収が可能になります。

なお、一般的に相手方の給与を差し押さえるのが効果的です。

これは
(1)一回手続きを行えば将来に渡って有効であること
(2)通常よりも広い範囲を差し押さえることができること
(3)振込される可能性が高いこと
が挙げられます。

4. 親族や会社に相談

あまりお金もかけられないし、もう少し簡単に生活費用を請求したい場合には、相手側の親族や会社に今置かれている状況を相談してみるのもいいでしょう。

周りの人たちが丁寧に話し合うことで、考え方を変えて、支払いに応じてくれるケースも少なくありません。

まとめ

今回は別居中でも生活費用はもらえるのか、また、生活費用をもらえない場合の対処法を説明しました。

まとめると、別居中の場合、養育費はもらえないが、婚姻費用という生活費用は支払いを求めることができます。また、相手方が支払いに応じない時は、上記で紹介した4つのやり方で対応しましょう。

生活費用がないときの不安は耐え難いものだと思います。誰かに相談して、一緒に解決策を考えてもらいましょう。

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