離婚調停中にやってはいけないこと14個!過ごし方・泣く

監修者:古関俊祐(弁護士)
中央大学法学部卒。地元の東京都葛飾区で新小岩法律事務所を開設後、現在は弁護士法人HALの代表弁護士として活動中。主に中小企業を中心とした法務全般の相談や労働問題、債権回収、交通事故、離婚、相続などについて手広く対応し多角的視点から問題解決を図るプロフェッショナルとして活躍しています。

離婚調停は家庭裁判所において調停委員2名を交えて離婚に関する話し合いを行う手続きです。

離婚調停でも離婚について合意できなければ離婚訴訟(裁判)を起こす必要があり、離婚調停で解決する場合よりもさらに時間と労力を費やすことになるため、できれば離婚調停により離婚問題を解決できることが望ましいといえます。

今回は離婚調停をしている期間中や離婚調停の期日当日にやってはいけないことについて解説します。

目次

離婚調停の期間中にやってはいけないこと6個

1. 配偶者以外の異性と性交渉をする

離婚調停で話し合いをしている段階でも離婚が正式に成立していない以上、法律上の夫婦関係は続いています。そのため、離婚調停中の配偶者以外の異性との性交渉は不貞行為となり、相手配偶者から慰謝料を請求される可能性があります

夫婦関係が破綻した後の異性との性交渉は不貞行為にはならないとされていますが、仮にそのように判断されるケースでも、離婚調停中に配偶者以外の異性と性交渉をしたことは調停委員に悪印象を与える可能性があります。

たとえ別居中であっても離婚が成立していない場合は、他の異性との性交渉が不貞行為になると判断される可能性があるため、注意が必要です。

2. 配偶者以外の異性とデートをする

性的関係に発展しないとしても異性とのデートは控えた方がよいと思われます。

性的関係を結ばない場合は、不貞行為に該当するとまでは言えませんが、異性と2人きりで食事をしたりすることは、配偶者を不快にさせ、今後の離婚調停においてトラブルの原因となります

3. 配偶者と直接会う・直接交渉する

離婚調停中に相手方である配偶者と直接会う行為や裁判所を通さないで直接交渉する行為は基本的に控えましょう。離婚調停は、調停委員が間に入って話し合いを進めるものです。

直接会って何かを言ったり、直接交渉したりすると、トラブルに発展しせっかくの裁判所での話し合いが無駄になってしまうだけでなく、配偶者や調停委員に悪い印象を与え離婚調停が不利に進むおそれがあります

また、直接会ったり交渉しなかったとしても、つきまといや執拗な連絡、威圧的な内容の手紙やLINEを送るなどの行為もトラブルの原因となったり不利な証拠とされる可能性があるため控えるようにしましょう。

4. 相手方への不平不満を相手方や関係者へ直接連絡する

離婚調停は夫婦喧嘩をする場ではなく離婚に向けた話し合いの場です。また離婚に向けた話し合いをしている夫婦ですから、相手方に対する不平・不満の言葉は客観的にみて相手方への誹謗中傷と言われてもおかしくない言葉になりがちです。

そのような言葉を相手方に投げかけることは調停委員に悪い印象を与えます。そのため、離婚調停中は、期日の日はもちろん離婚調停の期間を通じて、相手方へ直接不平不満をぶつける連絡は控えましょう。

また、相手方へ直接連絡をする場合だけでなく、相手方の家族や友人に相手方への不平不満を言うことも控えてください。あなたがたとえ自分が正しいと感じていたとしても、相手方の家族や友人があなたの言い分を正しいと思うわけではありません。少しでも調停を有利に進めたいと思うのであれば、連絡は控えるようにしましょう

5. 子どもを連れ去る

未成年の子は離婚が成立するまでの間は夫婦の共同親権に服しますが、離婚調停中に相手方のもとにいる子どもを連れ去ることはやめましょう。

そのような行為はむしろ親権者の指定において非常に不利に働きますし、最悪の場合は誘拐などの犯罪行為として刑事罰が科されることもありえます

もっとも、子どもが虐待を受けているなどの事情がある場合には、児童相談所に連絡するなどして緊急的に子どもを取り戻すべきケースもあるでしょう。また、裁判所においても監護者指定や子の引渡しという離婚調停とは別の手続が用意されているため、これらの手続を検討することになります。

6. 財産分与の対象になる財産を無断に処分する

財産分与とは離婚に伴い夫婦の共有財産を清算するものです。財産分与は離婚について有責性のある者でも請求できます

ですから、たとえ相手の浮気により離婚をするようなときでも、財産分与の対象になる財産を勝手に処分するのはやめましょう

離婚調停の期日当日にやってはいけないこと8個

1. 無断欠席する

調停の期日を無断欠席すると裁判所にも相手方にも迷惑を掛けることになります。もし、諸事情により期日に出頭できないのであれば、出頭できない事情を裁判所書記官に連絡して対応方法を相談するようにお願いしましょう。

離婚調停の期日を無断欠席すると、相手方や調停委員に悪い印象を与え不利な話し合いとなります。また、話し合いそのものが進められないため解決までの時間がかかることとなるでしょう。

さらに、家事調停の無断欠席は5万円以下の過料を科せられる可能性があります。離婚調停の申立てそのものに納得していないとしても、無断欠席だけは避けるようにしましょう。

2. 安易に調停内容に合意する

一度調停で決まったことを後で変更することは容易ではありません。そのため、離婚調停において安易に調停内容に合意してしまうと後悔することもあります。

調停の内容がわからないのであれば、調停委員にお願いして分かりやすく説明してもらうようにしましょう。合意するか迷う場合には次回まで検討しますと言って、その日の調停では回答しないことも大切です

3. 撮影・録音する

離婚調停が行われる調停室を含めた裁判所内部の撮影・録音に関しては、法律により裁判所の許可のない限り認められません

そのため、裁判所の許可なく調停の内容を撮影・録音することはやめましょう。

なお、裁判所に許可を求めた場合でも、余程の必要性がない限り、調停の撮影・録音は許可されないでしょう。もし調停の無断撮影・無断録音が発覚すれば、調停委員に悪い印象を与えることは間違いないでしょう。

4. 調停委員と喧嘩する

調停委員はあくまで仲裁役であり、どちらか一方の味方ではありませんから、あなたにとっては耳の痛いことも言ってくるかもしれません。

とはいえ、その場で調停委員と喧嘩してしまうと、調停委員はあなたより相手の肩を持つようになってしまうかもしれません。調停委員も案件を解決するために耳の痛いことを言ってくるものですから、もし強引に譲歩を迫られていると感じたとしても合意を拒否すればいいだけの話なのです。

5. 必要な資料の提出を拒否する

離婚調停では収入資料や財産資料など必要な資料の提出を求められることがあります。資料がなければ話し合いが進まないばかりか、あなたに不利な内容での合意を求められることもあります。

資料の提出は話し合いを進めるために必要な作業のため、正当な理由のない限り拒否しないことが無難です。ただ、資料の提出があなたに不利になるということも考えられるでしょう。資料の提出を求められた際は本当に提出が必要なのか理由を確認してから提出するか判断すれば良いでしょう。

6. 不要な個人情報が記載された資料を提出する

離婚調停において提出する資料に、調停とは無関係な第三者の個人情報が記載されている場合や、相手方に知られたくない自身の個人情報の記載がある場合は、該当する部分をマスキング(黒塗り)するなどして提出しましょう

提出した資料については、その写し(コピー)を相手方に渡してもいいか調停委員から聞かれることがありますから、そのときにはその資料に記載されている事項をよく確認してから渡しても構わないかどうかを回答するようにしましょう。

7. 嘘をつく

調停は当事者が一緒の場で話し合うスタイルより、当事者の一方が交互に調停委員と話し合うスタイルが一般的です。

相手方に知られたくないことでも調停委員には素直に話すほうがよいでしょう。嘘をついていることがバレると調停委員はあなたが嘘をつく人間であると思うでしょう

同様に提出する資料を偽造することも当然すべきではありません。たとえば、調停委員に話した内容の中にで相手方に伝えてほしくない内容がある場合は、あらかじめ調停委員に相手方に伝えてほしくない旨を伝えましょう。

8. 感情的になる

離婚調停において感情的になってしまうと、色々なデメリットがあります。まず、感情的になると合理的な判断、柔軟な判断ができず、そのせいで自身に不利な内容の合意を迫られたり、調停が不成立に終わってしまうことがあります。

また、感情的になり相手方に対する罵詈雑言を発すれば、調停委員に悪い印象を与えてしまいます。調停では、譲歩できること、できないことを事前に決めておき、冷静に対応しましょう

離婚調停中に泣くのはNG?

離婚調停中に泣くこと自体絶対にだめではありませんが、泣いたから調停が有利に進むということはないでしょう

むしろ泣いてしまうのは調停において感情的になっている証拠でもありますから、できれば泣かないほうがいいでしょう。

調停において大事なのは感情論より、筋の通った主張とこれに関連する資料の提出です。

離婚調停中に相手の連絡・LINEを無視するのは?

離婚調停中は相手方との直接の連絡(LINEなど含む)は控え、相手方に伝えたいことは調停委員を介して伝えるべきです

もし、離婚調停中に相手方から直接連絡があったときには無視してもよいですが、それでも連絡がやまないときには、メールなどで調停委員を介して言いたいことを伝えるように言いましょう。

ただし、子どもの急病等の緊急の連絡の場合もないとは言い切れないため、そのような連絡であれば無視することなく対応してよいでしょう。基本的には、相手方の連絡を無視することが調停において不利に働くことはないでしょう。

離婚調停中の過ごし方

離婚調停中の過ごし方として大切なことは、まず自分自身の離婚に関する希望や条件をはっきりと決めておくことです

離婚するのか、しないのか。離婚するとして、子どものこと、お金のことをどういう内容で解決することを望むのか。どこまでのことは譲歩できるのか。

こういったことを予めはっきりとさせておくことが大切です。

また、離婚調停は裁判のように証拠の提出が厳格に求められるわけではありませんが、自分の希望する内容を調停委員を通じて相手方に強く説得してもらうには、ある程度証拠を用意して示すことも大事です。証拠があれば、最終的に裁判になっても相手方はそれを飲まざるを得ないことが多いからです。

基本的に相手方に対する連絡は控えましょう。調停の期日以外で一切やりとりしない態度を示すことにより、相手方がこちらの意志が固いことを察して離婚に応じてくれることもあるでしょう。

離婚調停中に相手から嫌がらせを受けたときの対処法

家庭裁判所は離婚調停の当日、当事者同士がお互いに顔を合わせることがないように、待機する待合室を分けるなどの配慮をします。

しかし、調停外での当事者の接触については裁判所も関知できません

もし、相手からの連絡がしつこい場合や、家を訪問してした場合には必要に応じて警察に相談することも考えましょう

メールや電話などで脅迫めいた言葉を執拗に投げかける行為は強要罪や恐喝罪になり得ます。また、家に直接訪問してきたような場合には住居侵入罪・不退去罪が成立する可能性があります。SNSなどの書き込みによる誹謗中傷は名誉毀損罪になりえます。

離婚調停中に待ち伏せされたら?

待ち伏せされた場合は、警察に相談するという選択肢もあります。つきまとい行為がある場合にはストーカー規制法の対象になりえます。

調停には弁護士や家族等と出席するなど、複数人と行動し、身の安全を確保しましょう。

離婚調停を有利に進めるためにやったほうがいいこと3個

1. 調停委員に信頼してもらう

離婚調停を有利に進めるためのポイントの1つは調停委員の信頼を得ることです。調停委員は、夫婦双方から話を聞いた上でそれを相手に伝え、調停の成立を目指して話し合いを調停してくれます。

調停委員からの信頼を得られれば、調停委員はあなたの希望に沿った内容で解決できるよう積極的に相手方を説得してくれる可能性があります。

調停委員からの信頼を得る方法は誠実であること、そして自身の主張を証拠・資料を添えて伝えること、問題解決に向けて柔軟に対応できる姿勢を見せることです。

2. 事前の準備をしっかりする

次に大切なのは、調停のためにしっかり準備することです。

具体的には、まず離婚条件について自分自身の優先順位や譲歩できるラインを決めておくようにしましょう

次に、調停において調停委員や相手方に提示する資料を収集しておきましょう。資料については、調停の期日中に調停委員から資料準備の指示を受けることもあります。調停委員から準備を求められた資料については、決められた期限と提出方法をきちんと守り提出するようにしてください。

この2つの準備をしっかりとしておけば、落ち着いて調停に臨むことができ、当日も自分の考えや相手方の要望に対する回答を適切にすることができるでしょう。そして証拠や資料に基づく主張は説得力を持ちます。

3. 弁護士に相談(依頼)する

最後に離婚調停が始まる前に一度は弁護士に相談することをおすすめします。

・離婚調停はどのようなもので自分の要求は不当ではないか
・もし調停が成立しなければ、どのような結果になるのか
・収集しておくべき証拠・資料はどのようなものか
などを事前に弁護士に聞いておけば、先ほどの事前準備はより確かなものになるでしょう。

また、弁護士に相談した上で弁護士費用の負担について納得するのであれば、そのまま離婚調停の代理人になってもらうよう依頼することも有効な選択肢の1つでしょう。

まとめ

離婚調停は家庭裁判所において調停委員を交えて離婚について協議する手続です。離婚調停中は離婚についての話し合いは調停の当日にすべきであり、それ以外での直接のやりとりは控えるようにしましょう。

そして、調停当日に調停委員から信頼を得ることができるよう、自身の主張や意向を整理したり、提示すべき証拠・資料を収集したりするなどの事前の準備を欠かさないようにしましょう。

また、適切な事前準備のために一度弁護士に相談することもおすすめです。離婚調停の段階から弁護士に依頼することもでき、弁護士があなたの代理人として調停に出頭してくれるため、安心です。

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