離婚は精神的にも金銭的にも非常にストレスがかかります。そのため、離婚する前に十分に計画や準備をすれば、幾分かそのストレスが軽減できるでしょう。
ただ、お金がいくらかかるか、生活を維持できるか、不倫による慰謝料を請求できるかなど検討することはたくさんあります。
今回は、離婚するためにどのような準備を進めるべきか、ポイント毎に説明させていただきます。
離婚の準備に必要な期間
離婚を決意してから、相手方に離婚の旨を伝えるまでに色んな計画や準備が必要です。離婚の準備は子供の有無や定職の有無、金銭や生活の問題など一人ひとり状況が異なるので一概に断定することができません。
ただ、生活面の悩みなら3ヶ月程度、お金面や不倫の面なら貯金や就職活動・不貞の証拠収集から6ヶ月〜1年程度の期間が必要かと思います。
しかし、この期間も一般的な期間なので、例えば、親の支援や既に定職に付いているなら期間は短くなりますし、不貞の事実がなかなか出てこないなど貯金が皆無の場合には期間が長くなります。
離婚の準備リスト8個[生活]
1. 子供のケアを考える
子供は大人が考えているより、色んなことを察知できます。突然、家族の一人がいなくなってしまうと、子供は戸惑い、なぜいなくなったのか聞いてくると思います。
子供にとって、どうすれば不安を解消できるのか、どう回答すれば納得するのかを離婚する前に考えておくべきでしょう。
2. 自分のケアを考える
子供のケアも大事ですが、自分のケアも非常に大事です。離婚を進めることは色んな準備や手続きを考えなければいけないので、精神的負担が増えます。
また、離婚は短期間で終わることが非常に少なく、長期間に渡って対応しなければなりません。離婚を進めるにあたって、自分のメンタルを蔑ろにしてしまうことは本末転倒です。趣味、家族や友人などを頼ることで自分のケアを守る術を検討しましょう。
3. 親権者を考える
離婚後の生活を考える上で、子供を引き取るか否かは非常に重要です。子供を引き取る場合には親権者を誰にするか考えなければなりません。
協議離婚する場合、親権は話し合いによって親権を確定します。なお、話し合いで親権を決められない場合には調停や訴訟に移行します。
ただ、調停や訴訟による親権の確定には子供の年齢にもよりますが、子供の意思が反映されますので、離婚を準備する場合には子供の意思をそれとなく聞いておくといいでしょう。
4. 生活費用を考える
離婚後の生活費用は事前に検討しなければなりません。食費、家賃、光熱費、交友費、交際費や通信費などは婚姻中と離婚後でかなり異なります。
自分で生活を営んでいくなら、それらの費用をあらかじめ算出し、どのような手段で、どれくらいの収入を確保できれば、支出を賄うことができるか、離婚の準備中に緻密に計画しておきましょう。
5. 就職先を考える
専業主婦や主夫の場合、離婚後の定期的な収益を確保するために、就職先を考えなければなりません。離婚の手続きはケースによっては予想以上に時間がかかります。
就職活動をする際には、手取りでいくらの収入が必要か、子育てに寛容な環境であるか、有給などを自由に取れる制度が充実しているかなどを検討するべきでしょう。
6. 引っ越し先を考える
離婚後にどこに住むかも離婚準備を進める上で重要でしょう。小学校の立地、最寄りからの距離や時間、ひとり親の支援が充実している自治体か、スーパーやコンビニが近くにあるかなど、家賃の価格など自分の置かれている状況に応じて、住まいを決めましょう。
また、離婚する前に引っ越し先の目星をある程度つけておいた方がいいかと思います。
7. 親の協力
離婚準備や離婚後の生活を進める上で、親の協力を受けられるか否かは非常に重要です。
親の協力があれば、例えば、離婚後に新住居が確定するまで実家で暮らすなど、離婚後の不安要素を少なくすることができます。
また、子供が幼い場合、就労する上で制約を受けることもあります。親のサポートがあれば、子供の監護を一時的に任せることできるので、離婚を準備するときには親のサポートが受けられるか確認しておきましょう。
8. 名前を変えるか否か
離婚後の自分の名前をどうするかは離婚準備の段階で決めておかなければなりません。素直に自分の苗字を元に戻してもいいかと思いますが、苗字が急に変わったことで周りの人から噂をされたり、運転免許書や銀行口座などの名義変更などをしたりしなければなりません。
離婚後も婚姻時の苗字をそのまま使用することはできますので、自分の状況に照らして、苗字を変更するか否かを事前に考えておきましょう。
離婚の準備リスト8個[お金]
1. 婚姻費用
離婚を準備する際に別居を検討している方もいるかと思います。その際には、相手方に婚姻費用を請求できます。
離婚費用とは、夫婦間で婚姻生活を続けるに必要な費用を指します。民法752条「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と規定されています。
そのため、別居中であっても、互いに協力して生活しなければならないので、相手方に生活費用を請求できます。DVや虐待などで同居を続けることが難しい場合には、婚姻費用を請求できるか確認しましょう。
2. 財産分与
離婚する際に夫婦の共有財産を分ける必要があります。共有財産とは婚姻から離婚までに夫婦二人で築き上げた財産です。離婚した後は安定した収入や貯金が少ないために、生活が苦しくなります。
そのため、財産分与を丁寧に行うことで不安が少し和らぐと思います。また、不貞などがある場合には、より多くの財産を受けることも可能です。
3. 養育費
相手側から月々いくらの養育費用が貰えるかも重要になります。離婚後の生活は予想以上に出費が多くなります。定期的な収益を確保するためにも養育費がいくら貰えるか明確にしておくといいでしょう。
また、養育費の支払いが滞った時に円滑に差押ができる様に、公正証書を作成しておくといいでしょう。
4. 慰謝料
相手方の不貞やDV・虐待などしていた場合、法定上の離婚事由に該当するので、慰謝料を請求することが可能です。
慰謝料とは、不貞やDVによって受けた精神的損害を賠償してもらう費用です。そのため、婚姻生活中に不当な行為を受けていた場合には、慰謝料を請求できます。
ただ、性格の不一致だけなど、不当な行為を受けたと言えない場合には、請求することができないので留意しましょう。
5. 年金
離婚する際には、年金を分割することが可能です。理由としては、夫婦が婚姻中に築き上げた財産は、夫婦共有の共有財産になります。年金は収入の一部から支払われているので、共有財産と言えるため、分割することが可能になっています。
ただし、年金分割が可能なのは厚生年金のみです。相手方がサラリーマンである場合には問題ありませんが、相手方が経営者やフリーランスの場合には、国民年金のみなので、分割するとはできません。
6. 公的援助
離婚準備期間に離婚後にどのような公的扶助が受けられるか事前に調べておきましょう。例えば、ひとり親の場合には児童手当とは別に、児童手当に上乗せして児童扶養手当が支給されます。
また、寡婦控除制度を使用すれば、税金を安くすることもできます。これは死別や離婚により夫から離れて再婚していない女性が受けられる制度です。
さらに、お住まいの市町村によっては、子供が成人するまでの間、住宅費用手当が受けられます。ただ、市町村によって受給価格も要件も異なるので、事前にしっかり調べておきましょう。
7. 弁護士費用
離婚手続きが長期化するなど紛争になる可能性があるときは弁護士に依頼することになります。離婚準備期間中に、弁護士費用がいくらするのか調べておくことをお勧めします。
弁護士費用には、相談料、着手金、成功報酬や実費費用などがありますが、実際の値段はご依頼しないとわかりません。ただ、まとまったお金が必要になるので、離婚の準備期間中にある程度、目星をつけておいた方がいいでしょう。
8. 住宅ローンや保険
離婚準備期間中に、住宅ローンの有無や生命保険などの民間保険の見直しをしておきましょう。持ち家がある場合、家屋に抵当権が設定されているかと思います。抵当権の債務者に夫婦二人でなっている場合、家を手放した後にも、債務の履行を請求される可能性があります。
また、生命保険などの受取人が誰になっているか確認しておきましょう。保険によっては、受取人の名義変更に複雑な手続きが必要な場合もあります。離婚準備期間中に確認しておきましょう。
離婚の準備リスト6個[不倫]
1. 証拠を集める
不貞の疑いがあっても、その事実を証明できなければ、慰謝料の請求ができません。不貞しているのではないかと思ったら、証拠の収集を行いましょう。
スマホやLINEの会話歴、不自然な出張や口座からの出金、不倫相手との写真など小さいものでもいいので、不貞の証拠となるものを保全しておきましょう。
密かに離婚準備している間は警戒心が低いかと思います。離婚を打ち明ける前にある程度確保しておくことが必要でしょう。
2. 離婚に応じてくれるか
いくら離婚の意思があったとしても、相手方に離婚の意思がなければ、離婚の手続きは上手く進みません。
そこで離婚の準備期間中に相手の意思がどのような方向を向いているのか確認しておきましょう。日々の会話や行動、相手方の友人や親族の情報など、事前に相手方の想いを知ることで、相手の意思を推察しましょう。
3. 親族に相談し、外堀を埋める
離婚の準備は、相手方の離婚の意思の有無に左右されます。そこで、自分の親や子供、相手方の親や兄弟などと協力して離婚を進めていくことも一つの手段でしょう。
特に不貞など法律上でも離婚事由になり得る要因で離婚を検討している場合には、相手方の親族も離婚することに協力してくれる可能性があります。
親族などの外堀を固めていくことで、離婚の準備も手続きも円滑に進めることができますし、精神的にも経済的にも負担が軽くなります。
4. 慰謝料の請求
不貞の事実を証する証拠が集まれば、相手方に対して慰謝料を請求することができます。離婚の準備、手続きや離婚後の生活では突発的に金銭的負担が発生することが多いです。
慰謝料を請求し、一定額の金銭を確保することができれば、離婚後の生活でもある程度は安心して生活できます。慰謝料を請求するためにも、証拠の確保は怠らないようにしましょう。
5. 親権争いを有利に進める準備をする
子供がいる場合、どちらが親権を得るかで揉めることが多々あります。相手方の収入が低いなど相手方に養育する能力が乏しい場合には、親権の確保はそこまで難しくはありません。
しかし、不貞の証拠が不十分だったり、こちら側の安定した収入が見込めなかったり、養育能力がないとみなされたりすると、相手方が有利になります。
親権の取り合いに発展しそうな場合には、離婚準備の段階で、不貞の証拠や、養育能力を安定させる就職先の確保を行なっておきましょう。
6. 協議書の作成
離婚の手続きを円滑に行うために、離婚準備の段階でどのような協議書を作成するべきなのか計画しておきましょう。
特に不貞の事実がある場合や子供がいる場合には、財産分与、慰謝料や親権の獲得で紛争になることが予想されます。自分の意思を明確にするためにも、事前に協議書を作成しておきましょう。
離婚が認められる理由
民法では離婚が認められる法定事由として、不貞行為、悪意の遺棄、生死不明、回復見込みのない精神疾患、婚姻の継続が難しい重大な事由があります。
具体的に挙げると、
・不倫に該当するような行為
・正当な理由もなく生活費用を支払わないこと
・アルコール依存症などの精神障害や家庭内暴力
などがあります。
婚姻の継続が難しい重大な事由に関しては、ケースバイケースになります。自分の置かれている状況を冷静に確認して、離婚できる状況なのか準備段階で把握しておきましょう。
離婚を切り出すタイミング
離婚を相手に切り出すタイミングとしては、
①離婚後の生活費用の目星がついた
②就職先が見つかった
③新居が見つかった
④親族や友人の協力体制が確保された
⑤不貞の事実を証することができる資料が集まった
ときがおすすめです。
具体的な期間、たとえば半年後には伝えると決めるのではなく、上記の事柄が出来たら伝えることにしましょう。
特に離婚準備は精神的に疲弊します。冷静なうちにやるべきリストを作成しておくことで、円滑に準備を進めることはできます。
まとめ
今回は、離婚したい時の事前準備としてはどのような準備項目があるかを説明させていただきました。離婚の準備は、相手に悟られてしまうと、不貞の証拠を隠されたり、子供を連れ去られたり、夫婦の財産を不当に使用されたりする可能性があります。
また、離婚準備中は冷静に物事を俯瞰することができないので、何をすればいいか分からなくなってしまいます。相手に悟られず、密かに離婚準備をすることで、有利に離婚の準備を進め、
今回紹介した離婚準備リストを確認することで、円滑に離婚できるようにしましょう。
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